投げカワハギ

 近年、陸っぱりのターゲットとしてもすっかりポピュラーになったカワハギ。ライトなタックルで釣ることもできるが、探れる範囲が広い投げ竿で狙うのが断然有利だ。といって遠投できればよいというものでもない。名うてのエサ盗り名人をハリに掛けるには、小ワザを駆使する場面もあり、タックルの操作性、感度も重要。投げカワハギは“投げる”“操る”“感じ取る”の、いずれの性能も優れたキャスティズムが最も得意とする釣りである。
 仕掛けは下にオモリを付けた胴突き式と、テンビンを使用した吹き流し式の2パターン。ポイントとなる障害物周りを積極的に探れる点、エサを躍らせるなどの操作がしやすい点、アタリが伝わりやすい点で胴突き仕掛けがよい。
 ハリ数は2本か3本。モトスが細いとキャストに耐えられないので、6号以上の仕掛けを使用する。
 オモリは18~25号程度。根掛かりゾーンを飛び越して仕掛けを回収する場面も多く、浮き上がりの速いフロートシンカーなどを用意しておきたい。
 エサはアサリのむき身やイソメ類。イソメ類は、匂いが強いイワイソメが一番とされるが、入手しやすいアオイソメでも十分食ってくる。 ポイントは潮通しがよく、水深のある堤防や磯。砂地に根が点在し、所々海藻も生えている場所がよい。根や大きなカケアガリがあればサーフもポイントになる。
 釣り方はまず、仕掛けの着水後なるべく糸フケを出さないよう底まで沈める。着底後すぐにエサを取られることも多いので、瞬時に道糸を張る。それからオモリで海底を探りつつアタリを待つ。
 遠投して、プレッシャーがかかっていないポイントを狙うと、カワハギも大きなアタリを出し、向こう合わせで掛かることも多い。ところが何尾か釣ると、途端に食い方が神経質になる。それからは釣り人のウデの見せ所。仕掛けを躍らせたり、微妙なアタリに掛け合わせたりと、いろいろ試してみる。うまくハリ掛かりさせられれば、釣り人の勝ちだ。
 自分とキャスティズムの能力を合わせて、数を伸ばそう。

磯ブッコミ

 ガツガツと竿先を揺らすアタリに、電気が身体を突き抜けるブッコミ釣り。仕掛けやエサを替えることで、底付近に潜む様々な魚を釣ることができる。磯であれば、根魚、イシガキダイ、ブダイ、フエフキ類などなどターゲットは実に多彩だ。
 磯がフィールドとはいえ、完全な岩礁帯では釣りにならない。ポイントはある程度砂地がまじった場所を選ぶ。不用意に仕掛けを引きずると根掛かりするので、基本的には待ちの釣りとなる。投入後は底の様子を確かめる程度にオモリを引き、ここぞという場所に落ち着けて固定した竿掛けに掛け、軽く道糸を張ってアタリを待つ。これといった反応がなければ投げ直すか、竿を煽って仕掛けを大きく跳ね上げ、手前に移動させる。
 アタリは竿先にハッキリと出るので、竿を煽って合わせを入れる。モタモタしていると根に潜られるので、ハリ掛かりしたら海底から一気に引き離し、巻き上げてくる。
 仕掛けは、下オモリを付けた胴突き式の1本か2本バリ。安全にキャストできる範囲で下糸を弱くしておくことで、オモリの根掛かり時も、ロストを最小限にできる。
 エサはサンマなど青魚の切り身やイソメ類、イカの短冊など。磯や護岸を這い回るカニも万能エサだ。釣ったイワシなどの小魚を生きたままエサにするのも夢がある。
 待ちの釣りではあるが、釣果を上げるには積極的にポイントを探ることも大切。プレッシャーが高い場所では、遠投することで誰も仕掛けを入れていないフレッシュゾーンを攻められる。ヒット後は魚の重さに対する一瞬のためらいがバラシにつながるので、悔しい思いをしないためにもひるまず巻き上げる。キャスティズムの攻撃力を活かして果敢に攻め、強気で勝負したい。

サーフトローリング

 弓ヅノと呼ばれる擬餌針をリール竿で投げ、主にワカシ・イナダ、ソウダガツオ、シイラなどの回遊魚を狙うサーフトローリング。数あるショアからの回遊魚の釣り方では、最も攻略範囲が広い方法だ。
 フィールドはサーフがメインだが、堤防や磯場でも楽しめる。キャストの際、ロッドを振りかぶったときに弓ヅノを地面に付けるため、足元に起伏や障害物のある足場は不向きだ。
 弓ヅノは様々なカラーバリエーションがあるが、ピンク、ブルー、クリアー・ラメが基本。併用するテンビン付きオモリ(以下テンビン)は18~25号。ジェット天秤など浮き上がりに速いもの、速く引いても浮き上がりにくいもの(ムクオモリのL型テンビンなど)を用意しておく。水面で水シブキを上げる専用のテンビンもある。
 ハリスは弓ヅノの先端に開けられている穴に、内側から通して結びコブで止める。弓ヅノの回転による糸ヨレは避けられないが、6~8号と太目でコシのあるフロロカーボンラインを使うことで軽減できる。
 タックルは投げ用を用いるのが普通。ただ、飛距離を優先した硬いロッドは腕力が必要で、身体への負担も大きい。また、魚がアタックしてきても弾いてしまうことがある。無理なくキャストを繰り返し、バラシを防ぐためには軟らかめの投げ竿がよいが、これだと飛距離を犠牲にすることになる。両者のメリットを兼ね備えているキャスティズムは、ベストパートナーといえる。
 釣り方はシンプル。キャストしたらひたすら高速でリーリングする。ナブラが出ているときは魚が水面を意識しているので、テンビンを水面で滑らせるように引いてシブキでアピールするのも効果的。ナブラが出ていなくても青物がいないわけでない。中層、低層とタナを探ってみる。この場合、速く引いてもなるべくタナをキープでよう、浮き上がりにくいテンビンを使う。
 大事なのは1秒でも長く弓ヅノを泳がせること。手を休めてはチャンスを逃してしまう。“軽く” “投げ続けられる”キャスティズムで、撃ちまくろう。

投げサビキ

 バケと呼ばれる擬餌針が連なった仕掛けで、アジやイワシなど、主に小型回遊魚を釣るサビキ釣り。撒いたコマセにバケを紛れ込ませて、群がる魚を釣るのが基本だが、キャストして沖の魚を狙うこともできる。コマセは使わず、仕掛けとオモリのみでOK。市販のサビキ仕掛けを1つ用意しておけば、いつでも楽しめる。ターゲットも多彩で、アジやイワシのほか、カマス、ワカシ・イナダ、サバといった青物も釣れる。
 フィールドは選ばす、港内などでも手軽に遊べるが、コマセを撒いている人にはかなわない。遠投有利なサーフや堤防周りでも沖の深いタナに群れている魚を狙うときに強みを発揮する。
 飛距離重視なら、タックルは投げ用がよく、軽く取り回しのよいものがベスト。
 通常のアジ・イワシ用サビキ仕掛けは、モトスが細く重いオモリを使えないので、6号以上のモトスを使用した遠投用を用意する。バケはアジやイワシならスキン製や魚皮製。カマスや青物狙いには、フラッシャーが付いた派手なものが一般的。
 釣り方は、キャスト後魚がいそうなタナ、サーフであれば海底まで仕掛けを沈め、竿をゆっくり煽るように誘い上げて道糸を張りながらフォール。これを繰り返して手前に探ってくる。アタリはフォール中や誘い上げた直後に出ることが多い。特にフォール中の動きは大切。ストンと沈めるのではなく、道糸を張ってカーブフォールでなるべくゆっくりと見せる。
 ただ、カマスや青物は激しく躍るバケにじゃれついてくることも多いので、アクションはいろいろ試したい。
 釣果を伸ばすためには、魚のタナ、居場所をいち早く見つけて集中的に狙うことが大切。ハリ掛かりに至らない小さなアタリも感じ取れれば、それだけ狙いを絞りやすくなる。したがってタックルの感度も重要だ。
 お土産、および生きエサの確保、本命の時合い待ちにちょこっと浮気などなど、場面はいろいろ。キャスティズム+サビキ仕掛けで楽しみを広げよう。

キャスティングタイラバ

 マダイは沖釣りの頂点にいるターゲット。美しい魚体はほれぼれするし、手にしたときは誇らしい気持ちにさせてくれる。釣果の希少さも憧れる理由だ。なかなか手にできないからこそ、全国各地で様々な釣り方が生まれた。タイラバが沖釣りの世界に現れたのもそうした流れのひとつだが、これが広まるとマダイはいとも簡単に釣れるようになった。
 認識も大転換である。マダイは、思っていたよりもたくさんいて、獰猛で、そしてイージー。
 さらに、船からの釣りで見えた可能性が、「これは陸からの釣りでも通用するのではないか?」ということ。船からのキャスティングでは、船が入れないような浅場でもよく釣れるのだ。
 案の定、結果は出た。深場にいるイメージのマダイも、実際はエサを求めて頻繁に岸近くに寄り、ときに1mほどの超浅場でエサを漁る。エサを探すマダイに対してタイラバは非常に効果的。陸からのアプローチによる好釣果は、「かも」ではなく、必然であったのだ。
 船からの釣りでは移動しながら食い気のあるマダイを探すが、陸からの釣りでは、遠投でそれをカバーする。竿は飛距離に加え、操作性、感度のよさも求められ、となればやはりキャスティズム。
 竿が魚を掛けるための道具だとすれば、リールは魚を獲るためのモノ。投げ専用リールの血統を引き継ぎつつ、釣り人の好みと技量に合わせて、QDとATDの性質の違うドラグを選べるキャスティズムは絶対的なパートナーとなる。
 タイラバは60gと40g。基本は60gで、浅い層をゆっくり引くには軽めの40gが必要。特徴的なのはネクタイと呼ばれる薄いゴム製の帯。いわばこれが食わせエサで、マダイはタイラバを追いながらネクタイをかじり、やがてハリ掛かりする。カラーはオレンジが最も安定しているとされる。
 ヘッド部分はオモリであると同時にアトラクターで、カラーはオレンジのネクタイならそれに合わせて赤金などにするのもよいし、トーンを変えてシルバー系をセットするのもよい。
 釣り方は、キャストして、底まで沈めたら一定の速度で巻いてくる。基本はスローだが、速めに引いたほうがよいこともあり、また、ゆっくり引いて底を擦るようなら必然的に速く巻く。いずれにしても一定の速度が大切。余計なアクションは加えない。
 マダイは底付近だけでなく、ベイトがいれば思わぬ浅いタナに浮いている。まずは難しいことを考えず、底から斜めに水面まで巻き上げてくるのを繰り返せばよい。もちろん、ヒットダナがつかめたら、そのタナを集中的に狙う。
 タイラバを追尾してきたマダイが、ネクタイをかじればアタリとして伝わってくる。しかし、合わせはもってのほかで、送り込もうなどという考えもNG。焦らず、そのまま同じ速度で引き続ける。マダイが、警戒しながら遠慮がちにくわえていたタイラバをエサと感じれば、ゴツゴツと強いアタリに変わる。それでもガマン。向こう合わせが原則で、のしかかるような重みが伝わったところで、竿を起こしてしっかりとハリ掛かりさせる。
 この、前アタリからハリ掛かりするまでの時間は本当にドキドキする。途中でタイラバを離してしまうこともあるが、仮に合わせを入れていたとしても掛かりはしない。確かな重みが伝わるまで、じっとガマン。心臓は早鐘を打ち続け、だからこそハリ掛かりしたときの喜びが何倍も増幅される。こんなエキサイティングな釣りもそうはない。
 さて、キャスティングタイラバのフィールドおよびポイントだが、これはまだまだ広がりを見せている。タイラバは根に着いたマダイも、ベイトに着いたマダイにも効果がある。遠投ポイントだけでなく、ほかの釣り方では手を出せない超浅場や潮の速い場所も、タイラバなら攻められる。
 可能性は無限だ。
 キャスティズムと鯛ラバを手にしたアングラーそれぞれが、開拓者なのである。